高等裁判所の家事審判に対する不服申立の期限はいつまでで効果はどのようなものか(結論:5日以内の手続が必要で,原則として執行停止の効力がない)

調停前置となっている家事事件で,調停不調となり審判に移行すると,家庭裁判所で審判となります。家庭裁判所の審判の結果に納得ができない場合,高等裁判所宛に即時抗告申立をすることとなります(家事事件手続法85条1項)。

家庭裁判所の審判に対する即時抗告申立期間は,2週間です(家事事件手続法86条1項)。

では,高等裁判所が家庭裁判所の審判に対する即時抗告につき決定を出した場合,いつまでに手続を取る必要があり,その手続ではどのような効果が生じるのでしょうか。

高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては,その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに,最高裁判所に特に抗告をすることができると定められています(特別抗告,家事事件手続法94条1項)。

一般民事事件おける上告期間は2週間ですが(民事訴訟法313条,285条),家事審判事件については特別の規定が置かれています。

そして特別抗告についての規定である家事事件手続法96条2項では,民事訴訟法336条2項が準用されています。

具体的には,民訴法第325条第1項前段(上告裁判所による原判決の破棄差戻し等),同条第2項(決定に影響を及ぼす明らかな法令の違反がある場合における最高裁判所による原判決の破棄差戻し等),同条第3項後段(差戻しまたは移送を受けた裁判所が裁判をする場合における上告裁判所がした判断の拘束力)および同条第4項(原判決に関与した裁判官の排除),第326条(上告裁判所による破棄自判)ならびに第336条第2項(特別抗告の期間)の各規定の趣旨は,家事審判の手続における特別抗告審の手続にも妥当することから,家事審判の特別抗告についてこれらの規定を準用することとされています。

したがって,特別抗告は, 5日の不変期間内(家事事件手続法96条2項において準用する民訴法第336条第2項)にしなければなりません(逐条解説 家事事件手続法317ページ)。

さらに,特別抗告についての効果も,一般民事事件おける上告とは異なります。

一般民事事件においては,上告されると判決は未確定のままです。

しかし,特別抗告は,特別の不服申立て手段であること,家事審判の手続における迅速処理の要請が強いことから,家事事件手続法95条1項本文では,特別抗告に執行停上の効力を認めないこととしています。

執行停止の効力が原則としてありませんので,執行停止が例外的に認められる場合(家事事件手続法95条1項但書)を除き,高等裁判所の決定が出されて決定の送達がされれば強制執行が可能となります。

つまり家事審判事件では高等裁判所の決定で本執行が可能になる(一般民事事件では,未確定の判決に基づき仮執行ができる場合はありますが,本執行は確定までできない)点で,一般民事事件とは大きな違いがあるということになります。