土地賃貸借契約において、賃貸期間満了の際に地主が契約更新を拒絶しても、地主に正当事由がなければ賃貸借契約は更新されます。
では、法定更新の際に、更新料の支払いが必要になるのでしょうか。
賃貸借契約の更新が当事者間の合意によってなされたのであればその際に更新料支払いが合意されたかどうか結論が定まるので問題ありません。
しかし、法定更新の際には当事者間の合意によらずに更新がされるので、更新料の取扱がどうなるのか問題となります。
まず、基本となる土地賃貸借契約に更新料の定めがない場合にも、賃借人に更新料支払義務が発生するのでしょうか。
この点、賃貸人の請求があれば当然に賃借人に更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習があるかないかという形で争われてきました。
しかし、最判昭和51.1.1により、賃貸借契約に更新料の定めがない場合に法定更新されたときには更新料の支払義務はないということで決着がついています(実務裁判例 借地借家契約における各種特約の効力18ページ)。
次に、基本となる土地賃貸借契約に更新料の定めがある場合に、賃借人に更新料支払義務が発生するのでしょうか。
そもそも更新料支払特約が無効ではないかという主張もありますが、更新料の額が著しく高額であるなど、賃借人に一方的に不利益を与える事情がない限り更新料支払特約は有効と考えられています(東京高判昭和58.7.19、借地借家事件処理マニュアル 118ページ)。
その上で、法定更新の際にも更新料支払いが必要になるかは、賃貸借契約において法定更新の際にも更新料支払義務があると当事者間で合意されていたかどうかで結論が異なります(更新料支払を肯定した東京地判平22.8.26・東京地判平9.6.5・東京地判平4.1.23、更新料支払を否定した東京地判平22.7.16・東京地判平9.1.28・東京地判平4.1.8・京都地判平16.5.18)。
つまり、賃貸人としては法定更新になってしまう場合に備えて、契約書には「本件賃貸借契約が、法定更新を含め更新される場合には、借主は貸主に対して更新料として金○○万円を契約更新時に支払う」というような文言にしておく必要があるということになります。