夕方に土浦の裁判所で刑事事件の判決を聞き,その足で水戸の弁護士会の刑事弁護委員会に出席する予定でしたが,土浦に向かう途中で乗っていた電車が人身事故を起こして一時間以上停車してしまいました。
事故後,すぐに裁判所に連絡し,弁護人抜きで判決言い渡しをしてもらうようお願いしました。
弁護人が出なくてもいいのかという問題ですが,刑事訴訟法では以下のように規定されています。
第282条2項 公判廷は、裁判官及び裁判所書記が列席し、且つ検察官が出席してこれを開く。
検察官の出席は必要的ですが,弁護人の出席までは要求されていません。
もちろん,審理については弁護人がいないと被告人の防御権がきちんと行使できないので出席が原則です。
ただ,判決言渡しだけで,弁護人に特別な事情が発生してしまった場合,例外的に弁護人抜きで判決言渡しをする場合もあります。
今回の場合,被告人が現段階で身体拘束をされておりかつ執行猶予がつくことが見込まれていて,もし私が人身事故に巻き込まれたことを理由として判決言渡し期日を延期すればそれだけ被告人が長く身体拘束を受けてしまうこととなるので,やむをえず書記官の方にお願いして判決言渡しをしていただきました。普通は判決言渡しの後,私からいろいろと被告人の方に説明をするようにしていますが,本人にとっては1日も早く身体拘束から解放されることが重要でしょう。
実際に被告人には執行猶予付きの判決が出され,身元を引き受けてくれる方もお願いしていたので今頃は自由の身となっているはずです。