これは面白い。
ほ乳類は身体の大きさに比して総代謝量が決まっているが,ヒトは類人猿などと違い脳が使用するエネルギーがかなり大きい。それと引き替えに消化のために使うエネルギーが少ないが,これは料理という「発明」によって消化のためのエネルギーを節約することに成功したからだ。
「火」とあるが,どちらかというと「料理」が軸となっている。
毎日なにげなく食べている食事だか,生食だと同量を食べても摂取エネルギー量は危険なほど下がってしまう。食事は加熱することや細かく・柔らかく加工することで,劇的にその摂取エネルギーが変化する。
現代のヒトはかつてないほど健康で長寿となっているけれども,実はこれも外部からエネルギーが安定的に供給されている結果だ,という記事を以前どこかで読んだことがあるが,外部エネルギー利用に適応してヒトの進化が進んだこと,文化人類学的な分業システムに対する考察など,内容的に密度が濃くてたいへん興味深い。
読む人によっては難しいかもしれないが,自然科学に興味がある方にはたいへんにおすすめ。