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賃貸人(貸主)が破産したとき,賃借人は敷金・保証金を破産手続内で支払ってもらえるか(結論:解約し明渡しをしていないと支払ってもらえない)

部屋や土地を借りた賃借人が,敷金や保証金を賃貸人(貸主)に渡していたけれども,敷金や保証金を返してもらう前に賃貸人が破産してしまった場合,賃借人は敷金や保証金を返してもらえるのでしょうか。

 

敷金や保証金は,賃借人が賃貸人に預けているだけで,賃貸借契約を解約して明渡しをすれば返してもらえるお金です。

ですから,敷金や保証金についても,賃貸人に対する普通の貸金などと同じように,破産債権として裁判所に届出をして,破産手続に参加することはできます(破産法103条4項)。

 

しかし,敷金や保証金は,「解約」と「明渡し」を条件として返還する約束になっています(停止条件付債権,最判昭和48.2.2民集27巻1号80頁)。

 

つまり,「解約」と「明渡し」が成立する前に敷金や保証金を渡してしまうことはできません。

 

そのため,破産手続では,最後配当又は簡易配当の除斥期間内に「解約」と「明渡し」が完了したという停止条件を成就しなければ,配当から除斥されてしまいます(破産法198条2項,205条)。除斥されてしまうということは,配当を受けられない,すなわち破産手続き中では支払がされないということになります。

逆に「解約」と「明渡し」が完了していれば,契約上定まっていた金銭等を精算した上,返還額を基準として配当を受けられます。

 

管財人側では,賃借人から敷金や保証金について債権届け出があれば,契約上の予定返還額を認める旨の認否をして,備考欄に「停止条件付債権」と記載し,配当手続で除斥漏れがないよう注意する必要があります。

 

その上で,最後配当又は簡易配当の除斥期間内に「解約」と「明渡し」が完了したという条件成就の証明がない限り,債権調査手続で異議なく確定しているときでも,敷金や保証金については配当手続から除斥されることとなります(破産管財の手引190頁)。

 

なお,商業ビルなどでは3ヶ月から1年前に,賃借人から解約予告をしてから賃貸借契約を解除することになりますが,契約書上,「解約予告」となっているのであれば,所定の期間が経過するまで「解約」は成立しないことになります。

つまり,予告をしてから所定の期間が経過し,かつ明渡しもするという,両方の条件を充足しなければ,破産手続からは除斥されることになります。

 

このように,敷金や保証金については,貸主である賃貸人が破産した場合,解約と明渡しが完了しているかどうかで配当を受けられるかどうかが変わってきます。