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民事再生において非典型担保権は別除権として扱われるのか

民事再生法は,53条で別除権について定め,再生手続によらないで行使できるとしています。

(別除権)
第五十三条
1 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法 若しくは会社法 の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。
2 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。

ただ,53条1項で定められていない,いわゆる非典型担保権について,別除権が認められるかには問題があります。

この問題は破産法でも発生する問題であり(破産法65条1項,2条9項),民事再生法において非典型担保権が別除権に該当するかは,破産法と同様に考えるとされています(伊藤眞 破産法・民事再生法(2007) 691頁,329頁)。

破産法・民事再生法

破産法・民事再生法

1 所有権留保ですが,担保権の一種と考える見解が多数を占めており,非典型担保権として別除権が認められます。
2 仮登記担保ですが,破産手続開始までに実行が終了していなければ,別除権となります(仮登記担保法19条1項,破産法2条9項)。ただし,被担保債権が特定されていない根担保仮登記は,破産手続においてはその効力を有しないとされています(仮登記担保法15条・19条5項)。
3 譲渡担保権は,所有権の形式を借りた担保権であるとの考え方が支配的であり,非典型担保権として別除権が認められます(民事再生につき,最判平成18・7・20民集20巻4号900頁)。
4 売渡担保は,譲渡担保の場合と異なり,被担保債権が存在せず,また,目的物所有者もいったんは確定的に買主に帰属することに特徴があります。ただし,設定者に買戻権あるいは再売買の予約完結権が与えられている限り,なお目的物の実質的所有権は設定者に帰属し,買主には担保権が与えられているという法律構成をしています。この場合も,非典型担保権として,別除権行使が認められます。
5 手形の譲渡担保は,別除権が認められるか,説が分かれているようです。最近は手形取引がかなり減ったため,問題になることは少ないのかもしれませんが。
6 集合動産譲渡担保は,そもそも集合動産譲渡担保契約時にきちんと特定がされていないと,集合動産譲渡担保契約が有効に成立したとはいえず,別除権が認められません。
7 集合債権譲渡担保の場合も,集合動産譲渡担保と同様に,目的債権の集合物としての特定がきちんとされていない限り,譲渡担保権として有効な成立が認められません。特定がされた上で,対抗要件が具備されている限りで,別除権が認められることになります。