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遺言の有効性

遺言で普通預金5400万円のうち,子供CEFにそれぞれ1200万円,子供Dに1500万円を,子供の婿Gに300万円を相続させるが,子供Bには相続について何も書いていないという遺言書が作成されたが,普通預金には200万円余り,定期預金に5500万円があった場合どのように分配すればよいのでしょうか。

この事例は東京地方裁判所平成10年9月29日 平成9年(ワ)第25559号,平成10年(ワ)第10608号預金返還請求事件(甲事件),預金払戻請求事件(乙事件)において遺言の内容と実際の遺産額や遺産の所在が異なる場合に遺言の内容に沿って分配すべきと判示した裁判例です。

この場合,形式的に見れば普通預金の額が全く足りないので遺言が無効になるとも考えられますが,裁判例では遺言の内容について遺言者の合理的意思を推認して結論を導いています。

具体的には,Bに相続させないこと,及び他の相続人には定期預金と普通預金を合わせた金額から相続の内容に沿った金銭の相続を認めたものです。


遺言の解釈は,遺言者がどういう考え方をしていたのか,生活状況や遺言者が書き残した資料などから証拠を積み上げて認定していくことになるのでしょうが,経済状況によって相続財産が変動することは十分考えられるので応用範囲が広そうな裁判例だと思います。